その戦国の世に人があり、闇があり、人を喰う闇があり、闇を狩る人があり、
手を取り合う、人と闇があった——
人間好きの妖狐・ たまと、人嫌いな仙道・ 迅火の"義姉弟"が、「精霊転化」の力で、闇と戦い、乱世にはびこる巨悪を討つ!!
疾風怒濤の戦国バトルファンタジー、ここに開幕!
「戦国妖狐 世直し姉弟編」第二部
「戦国妖狐 千魔混沌編」
「千魔混沌編」が2024年7月より連続2クールで堂々開幕!
彼を守るために強くなりたいと願う人間の少女・月湖。
彼らに慕われその歩みを見守る真介と、暴走した迅火の行方を探し求める妖狐・たま。
そして、千夜の力を狙う、闇の頂点に立つ黒龍の少年・ムドが襲いかかる。
己の力と向き合い、その身を極めようとする千夜の前に、次々と現れる強敵――
旅の果てに彼を待ち受けるものとは…!?
物語は迅火から千夜へと主人公がバトンタッチされ、
どんな冒険を彼が見せてくれるか、しかと見届けよう!
「戦国妖狐 世直し姉弟編」第二部
「戦国妖狐 千魔混沌編」
我ら乱世を憂う者
時は永禄7年。武者修行中の武芸者・兵頭真介は、不思議な術で野武士を撃退する「世直し姉弟」=妖狐・たまと仙道・山戸迅火に出会う。真介は二人とともに野武士集団「鬼兜組」のアジトへ乗り込むが、鬼兜組の頭領が人に仇なす闇(かたわら)だと知った迅火とたまは秘術「精霊転化」によって力を解放すると、瞬く間に頭領を撃退。迅火の力に惹かれた真介は、2人との同行を決意する。
灼岩
闇と戦う霊力僧兵集団「断怪衆(だんがいしゅう)」。迅火、たま、真介の3人は、成り行きで彼らとともに闇・灼岩と戦うことに。灼岩の暴走の理由に疑問を感じたたまたちは、その正体が断怪衆総本山の実験によって生み出された、霊力強化改造人間だったことを突き止める。戦いの末に灼岩を人間の姿に戻した3人は、断怪衆の悪行に灸をすえるべく、総本山に殴り込みをかけることに。
永禄七年
断怪衆総本山に到着した一行。迅火は精霊転化し、300人の霊力僧兵と激闘を繰り広げていた。だが、人体実験の主導者である野禅を発見するものの、城の闇・泰山の強大な一撃で気を失ってしまう。朦朧とする意識のなかで、迅火はなぜ自分が人を憎み、闇を求めているのかを思い返していた。一方、森の中で身を潜めていたたま、真介、灼岩も断怪衆の僧兵に見つかってしまう。そのとき、仲間を守ろうとした灼岩の姿が……。
迅火と人間
闇・ぐらぐら様との戦いのさなか、野禅が放った闇喰い人・雷堂斬蔵が乱入してきた。風を操る魔剣・荒吹を駆使する斬蔵に対して、互角の戦いを展開する迅火だが、やがて霊力ではなく技のみで押し通す斬蔵に敗北を喫してしまう。一方、迅火の命までは奪わなかった斬蔵だが、断怪衆から確実に殺すことを要求される。斬蔵からの果たし状を受け、迅火は再度戦うことを決意する。
氷岩
野禅が送り込んだ次なる刺客・断怪衆四獣将のひとり、氷岩。彼女の正体は、霊力強化改造人間に改造された、斬蔵の妹・氷乃だった。灼岩に封じられている闇・火岩は、氷岩のなかにいるのが旧友の闇・蒼岩と察して語りかけるが、その意識は消滅していた。友を弄ばれた怒りに、火岩は自ら戦うことを申し出る。だが、そこへ龍の気配をまとった二人組が現れる。龍の力を前にして、迅火たちが取った行動とは……?
ふこう
断怪衆討伐のため、思いを新たに出発した一行。真介は斬蔵から魔剣・荒吹を託されるが、まだ自分の実力に見合わないものだと思い知らされる。旅の途中、闇・猩々(しょうじょう)の酒の匂いをかぎつけたたまは、そこに居合わせた断怪衆四獣将のひとり、道錬と鉢合わせてしまう。たまは呑み比べでの勝負を提案し、辛くもピンチを乗り切るが…。そして一行がたどり着いたのは、不幸から人々を守り続けた闇が支配する村だった。
火岩と芍薬
火岩の故郷である岩の里にたどり着いた一行。ある日、迅火が身重の女性・おこうに手助けしたことで、一行は岩の里にしばらく滞在することに。だが、ほどなくして断怪衆の追っ手、烈深と道錬が岩の里にあらわれた。迅火は道錬とぶつかり合い、戦いのなかで真っ向勝負の楽しさに気付く。一方、おこうをかくまっている小屋を不審に思った烈深は、卑劣な手段で小屋もろとも葬り去ろうとする。そこに灼岩が身を挺して立ちはだかる…。
魔剣士
自らを犠牲にして岩の里を守り、深い眠りについた灼岩。彼女を失ったことで、怒りに囚われた真介は、陰の気に飲まれかけていた。ある村で守護者である闇・かごもりが、生贄の人間を食らっていると知った真介は討伐に乗り出す。だが、そこに現れたのは烈深だった。真介は感情に任せて剣をふるうが、烈深の攻撃で気を失ってしまう。朦朧とする意識のなかで、真介は魔剣・荒吹の精神世界に入り込む。
山の神(前)
山の神は断怪衆に洗脳された泰山の目を覚ますべく、一行に協力を申し出て、断怪衆3つの大戦力の1つを引き受けると提案する。断怪衆3つの大戦力とは、泰山、龍、そして、くずのは。くずのはの名を聞いたたまは、愕然とする。そのころ、一行を追う断怪衆四獣将筆頭・神雲と少年千夜が目前まで迫っていた。山の神は、迅火、たま、真介を鍛え直すため、それぞれに修行を言い渡す。
山の神(後)
妖精眼を解放した迅火は、りんずの幻術を見破り、修行をクリアする。一方、偶然にも千夜を倒すチャンスを得た真介は、まだ子供である千夜の命を奪うことに戸惑う。そのころ、たまも、迅火、真介に遅れながらも修行をクリアする。いち早く断怪衆の総本山を目指すべきという山の神に、たまが持ちかけた策とは?
断怪衆最強の男
神雲と千夜が封じられたという報は、総本山の野禅たちにも届いていた。迅火の霊力がさらに磨かれたと聞いた道錬は、再戦を待ち望む。そのころ、一行は総本山の入り口にたどり着く。たまが選んだのは、正門から乗り込む正面突破。総本山に乗り込んだ一行を待ち受けていたのは、彼らの行動を予見していた道錬だった。迅火と道錬、ついに決着となるのか!?
迅火と道錬と竹吉とバリー
断怪衆総本山で繰り広げられる迅火vs道錬、真介vs烈深の死闘。妖精眼で攻撃を見極めていた迅火だったが、道錬が繰り出した荒技・千尋拳(せんじんけん)の威力は圧倒的だった。迅火は、朦朧とした意識を払うべく、霊気の塊の手を頭に突っ込むが…。一方、烈深の轟震海(ごうしんかい)をかわした真介は、憎しみの果てに自分が目指すべき境地にたどり着く。そして戦いの行く末を見守っていた野禅は、ついに泰山を起動させることに!
神獣
断怪衆四獣将、そして泰山を失った野禅は、「精霊転化」で迅火に対抗する。九つの尾をもつ野禅は、霊力も戦闘能力も迅火を上回っていた。追い詰められた迅火は、泰山の肉を食らい、霊力を極限にまで高めていく。だが、人間としての自分を顧ない迅火は、正気を失い闇の意識に飲み込まれてしまうのだった。野禅は迅火の暴走を好機と見て、幻術で戦いを支配した。たまや真介は、迅火の正気を取り戻すべく、必死に呼びかけるが…。
千鬼夜行
断怪衆総本山での戦いの後、真介と千夜はとある村に身を寄せていた。千夜はすべての記憶を失っていたが、「これは人生をやり直せという天の采配」と真介は考え、千夜を普通の子供のように扱う。村の娘・月湖との関わり合いのなかで、徐々に子供らしさを取り戻していく千夜。だがある日、闇の集団が夜に紛れて村の子供たちを拉致し、絶体絶命の危機に、千夜に融合された千体の闇たちが目覚めるのだった。
黒龍
千夜と狂神との戦いにより、月湖の父が亡くなり、村は壊滅的な被害を被った。真介と千夜は、だれにも知らせずに村を去ろうとするが、月湖が同行を申し出る。やむを得ず月湖を加え、旅の途中で出会った謎の闇・なうと共に、京へ向かう一行。戦いで人の命を奪ったことに苦しむ千夜は、内なる千の闇たちの声を遮り「おれはもう戦わない」と決意する。だが、黒龍・ムドが天空より急襲、千夜に代わって戦った月湖が攫われてしまう…。
荒れ都の狂神
月湖の器量を見抜き、彼女を連れ去ろうとするムド。その危機を救ったのは、突如として現れたたまだった。たまの幻術によってムドを欺くことに成功した一行は、再び旅を続ける。だが、京の町で千夜を狙う狂神と遭遇、どうしても逃げ切れず、応戦の末に倒してしまう。自らの力が戦いを呼び寄せてしまうのに、敵を退けるため、仲間を守るためには力がいる。その矛盾に苦しむ千夜の前に現れたのは…。
千夜と月湖
一行の前に現れたのは、テルさんこと室町幕府第十三代将軍・足利義輝だった。義輝は、京の大土地神・華寅を千夜たちに引き合わせる。華寅は、狂神と化した自らの分霊(わけみ)を止めてくれた千夜を労い、自分を責めるなと伝える。それでもなお、戦ったことを後悔し続ける千夜だったが、義輝の常識にとらわれない考え方に触れ、自分の持つ力についてあらためて考え始める。しかし千夜の気持ちが変わり始めたのも束の間、京にムドが襲来し、月湖を攫って行ってしまう。
時、来たるべく来る
その身を極めよ──。義輝の言葉に動かされ、千体の闇たちと対話を試みる千夜。闇たちに自らを主人と認めさせようとするが、「従わせたくば力を示せ」と彼らは襲い掛かってきた。一方、剣の道を極めた義輝は、時を斬ることすら可能となり、自らの死が目前に迫っていることを打ち明ける。千夜と義輝、それぞれの運命を決める決戦が始まろうとしていた。
雲の上まで
激戦を繰り広げる千夜とムド。「全力を尽くして遊ぶ」という気持ちで挑んだ千夜に、もう悲壮感はなかった。やがて最強をかけて戦う二人は、共感すら抱きつつあった。そのころ義輝は、松永久秀の軍勢をたったひとりで圧倒していた。「本当に勝てるんじゃ…」真介が義輝の勝利を信じかけたとき、「無の民」と名乗る謎の5人組が現れる。
旅の終わり
ムドとの戦いを終えた千夜は、無事月湖や真介たちと合流を果たした。回復に専念する千夜たちだが、華寅の術により、真介と斬蔵はその地から離れられぬことが発覚。また、予期せずに無の民が襲撃をしかけてくる。無の民と武でなく対話で向き合うことを決めた千夜は、幽界で彼らの真の目的を知らされる。封印されている父を助けるため、守りたいものを守るために、千夜と月湖は華寅に修行をつけてもらうことに…。
古恩
たまと合流を果たした千夜と月湖だったが、一行が目の当たりにしたのは千本妖狐となった迅火の姿だった。迅火は海神の力を自らのものにし、周囲に強力な結界を張り巡らせてしまう。結界を突破する方法を探るべく、一行は占い師・八卦猫の元を訪れるが、狂神と化した泰山が突如現れる。なうの助けにより、千夜は幽界干渉を発動し泰山を解放する。そして、仲間に加わった泰山と共に旅を続ける千夜たちの前に、銀髪の一族を探す犬の闇(かたわら)が姿を現す。一方、強くなりたいと悩む月湖に危険な影が忍び寄る。
千夜と神雲
父・神雲の封印解除を願い出た千夜に、山の神は試練を申し出た。それは近くの山に現れたネズミの闇を退治すること。すぐさま山へと向かった一行だったが、にわかに不思議な香りが漂いだした。それは闇が仕掛けた催眠香を使った幻術であった。罠にかかった千夜と月湖は祭りを楽しむ子供の姿になり、たまも四人で旅をしていたころの思い出を見、在りし日の迅火の姿に心を奪われ始めるのだった…。
千夜の八年
千夜は断怪衆を辞めるよう神雲を説得するが応じてもらえず、二人は拳で勝負することに。激闘が展開するさなか、突如として無の民が現れ、神雲らを幽界に引き込んでしまう。幽界では優勢な無の民は神雲に融合されている龍・ナダレを解放し、共にその場から逃走を試みる。だが、そこに現れたのは怒りに燃える山の神と泰山だった。地神二人を味方につけた千夜一行に勝機は芽生えるのか…?
千魔混沌を巡って
山の神に捕らえられていた野禅から、迅火を人間に戻す方法を告げられた千夜。迅火の結界を破るカギ、それは移動可能で土地神に匹敵する能力を持つ者。一方、無の民は、千夜との戦いには基地となる移動要塞が必要だと考えていた。両者の思惑に合致するもの、それは雲の闇・万象王の力…。一度村に帰った千夜一行だったが、千夜は無の民が起こす事件の要因は自分だと考え、1人で村を旅立ってしまう。そのころ、たまは一足先に単独行動で万象王を捜索するが、恐るべき事実を突きつけられてしまう。
決戦の地
万象王という移動基地を手に入れた無の民は、各地の闇を洗脳し、闇の軍団を組織する。無の民は猩々たちも取り込もうと万象王を差し向けるが、その前に立ちはだかったのは道錬とムドだった。だが万象王の懐に飛び込んだムドは、予期せず同じ龍族のナダレと遭遇、返り討ちに合ってしまう。辛くも逃げ切った道錬とムドは、タゴの導きで龍の気配を辿ってきた千夜と再会。一方無の民は更に軍を増強すべく、闇の群れを求めて岩の闇の村へと向かう。
遭遇(さいかい)
無の民が千夜との決戦の地に選んだのは、8年前に激戦が展開された断怪衆総本山。断怪衆僧正・印河は、千夜、ムド、道錬の3人の闘気が、闇の大群に匹敵する力があると感じ、本山奪還への希望を見出す。それぞれが因縁を持つため、「最初に出会った者が神雲と戦う」という取り決めを交わし、総本山へと突入する千夜たち。無の民に操られた闇の兵たちを退け、3人は総本山を突き進んでいく。万象王を追ってきたたまも加勢するが、そこに現れたのはたまがもっとも戦いたくない相手だった…。
開眼
無の民の指示に従わず、神雲(ナダレ)は道錬との対決を望んだ。2人から激しい闘気が立ち上り、戦いを見守っていたたまたちをも圧倒する。一方、無の民は、道錬と神雲の戦いには構わず、千夜に闇たちを差し向ける。膨大な数の闇たちの攻撃に、徐々に押されていく千夜。だが千夜の肉体は消耗しつつも、霊気はとめどなく湧き水のようにあふれ出していた。操られているすべての闇たちを救いたい…。その真理にたどり着いたとき、千夜はさらなる高みへと向かう。
万象王、降臨
無の民に操られ、たまに襲い掛かる灼岩。そこに駆けつけたのは真介だった。たまと真介は灼岩を拘束しようとするが、苦戦を強いられる。隙を見て幽界干渉を仕掛ける真介が、灼岩の意識の中に見たのは、彼女が芍薬だった頃の忌まわしい記憶…。村人たちから赤髪と忌み嫌われていた芍薬の前に現れたのは、白馬に乗った謎の侍だった。
道介と雲蔵
万象王が溢れさせた水は大地を覆い、瞬く間に戦場を洗い流した。あらためて万象王に挑みかかるムドだが、軽くあしらわれてしまう。それどころか、万象王はムドを相手にせず、道錬と神雲の戦いを観戦し始めるのだった。そのころ、道錬と神雲の戦いも佳境を迎えようとしていた。極限まで研ぎ澄ませた道錬の拳は一条の光となり、若かりし日の記憶を呼び覚ます。道介、雲蔵と呼び合い、お互いの技を鍛え合っていたあの頃に…。